まほうつかいとねこ
       せな けいこ / 作・絵
満月の晩に魔法使いの集まりがあります。
その時、箒にクロネコをのせて
飛んで行かなくてはなりません。
そこで、魔法使いは
募集広告を出しました。
ある雪の降る晩
表の戸をたたく音がしました
あけてみると
小さなシロネコが入ってきました。
「おやまあ、家ではシロネコは要らないんだよ。」
「お願いですから、入れてください
寒くて寒くて、その上お腹がペコペコで死にそうです」
「困ったねえ。外は雪だし・・・
じゃ、今夜だけ泊まってもいいよ」

「お前は小さいのに良く食べるねえ」
次の日の朝、雪は益々ひどくなりました。
「仕方がない。
天気がよくなるまで、居ていいよ」

「毎日よく降るねえ〜」
「ほんとにそうですねえ」
「雪がやんだので、出て行きます
どうもありがとうございました」
「あーあ、お前がクロネコだったらねえ」
「あっ それなら体に墨でも塗ったらどうでしょう?」
「そうだ!私にいい考えがあるよ」
魔法使いは、黒い毛糸で
すっぽり着られるセーターを編んでやりました。
「あっ これならクロネコに見える」

「さあさあ、仕度ができたら
箒にのる練習だよ」
ところが、
それが意外と
難しくて・・・
すってんころりん にゃーん、にゃん
また ころりん にゃーん にゃーん

「やれやれ、これじゃあいったい
いつになったら空を飛べるやら・・・」
満月の晩になりました。
魔法使いはとうとうネコを
おんぶして飛んでいきました。
「おんぶなんかしちゃって どうしたの?」

「べつに〜」
魔法使い達が踊っている間に
ネコ達も踊りだしました
「あたし、暑くなっちゃった」
シロネコがセーターを脱ぐと
「あっ、シロネコだ!」
「シロネコだ!」
ネコたちはびっくり
魔法使い達もびっくり。
「白いネコでもいいよ。
だって、私の大事なネコだもの」
「そうね、 何色だってネコはネコ。
それに、セーターを着せると、とっても素敵だわ」
「そうだ、家のネコにも作ってやろうかしら」
次の満月の晩が楽しみです
だって・・色とりどりのセーターを着た
ネコたちが・・・

せな けいこ/作・絵
         鈴木出版

今月の一冊、2008年2月でも、紹介しております。
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