昔、ねこの国を治めていたライオンのレオ王は
立派な宮殿に住み 贅沢な暮らしをしていましたが
自分の名前さえ読み書きできませんでした。
レオ王が悔しいのは
仲の悪い北の国を治めるオットー王の宮殿には
壁一面に見たこともない宝がぎっしり詰まっているという事でした。
レオ王とお后に待望の王子が生まれましたが
なんとその背中には翼があったのです。
けれど、誰も翼の使い方を教えてくれませんでした。
ある日、遊んでいた王子は
風に乗って北の国まで飛んでいってしまいました。
木にぶつかって傷ついた王子を助けてくれたのは
熊のオットー王と賢いふくろうでした。
オットー王は、王子を我が子のように慈しみ
壁一面にぎっしり詰まっている宝…「本」の読み方を教え
翼の使い方を学ばせます。
春
北の国の皆の温かい心と 本の知識を体に詰めて
お話の本をお土産に 王子は自らの翼を使って国に帰ります。
ねこの国で唯一 文字を読み書きできる王子は
オットー王の言いつけを守り、友達皆にお話を読んで聞かせます。
初めて触れる本とお話に、皆夢中になりました。
そして・・・レオ王とオットー王は仲良しになりました。
「本はだれとでもわけあえる宝ものだ
だから、この本をおまえの国のともだち
みんなに、よんであげなさい。」
『つばさをもらったライオン』
クリス・コノヴァー/作
遠藤 育枝/訳