「えんまのはいしゃ」
「このわしの前でもほらを吹くか!!」えんま様はカンカンに怒って鬼たちを集めます
「お前たちの中で歯の痛いものはおらんか!このほら吹き歯医者に治してもらえ
もし治らなかったら、このほら吹き歯医者め!!お前の舌を抜き地獄へたたき落とすぞ!!」
呼ばれて手を上げた赤鬼と青鬼の前で、歯医者は、自信を持って答えます
くすのき しねのり/作
二見 正直/絵
さて、ここは地獄の入口です。
むかし、むかしの事、嘘ばかりつくほら吹き歯医者が、
えんま様の前に引き出されました。
「将棋ばかりして、怠け者の歯医者め、散々患者を痛い目に合わせてきたな。
天下一の歯医者などと、大ほら吹きじゃ」
悪事の数々が正直に映ってしまうと言う”じょうはりのかがみ”にも、
痛がる患者の様子がしっかりと映っています
ところが、歯医者は自分の腕前は確かに天下一だと言い張ります
「私の治療で痛いなどと言うものがあれば、それは大うそつきです」
と自信を持って語ります
なんと、嘘をついているのは患者の方だと言うのです。
「これから行います治療は、
勇気があり、正直な心の持ち主ならば、
決して痛む事はありません。
ですから、治療を嫌がったり痛がったりするようなモノがおれば
それは、勇気のない、ウソつきでございます」
さて、この歯医者の治療、一体どんなものなのでしょう
そして、本当に歯は治るのでしょうか・・・
抱腹絶倒、最後まで楽しんで大笑いできる一冊です