ふくを返すように頼むオニに向かって、母は言います。
”酔っ払いに可愛い娘はやれぬ。どうしても返してほしかったら、
豆を植えて、水をやり、花を咲かせてその花を持ってこい”
と言って、戸の隙間から、豆をオニに向かって投げつけます
オニは豆を拾って山に帰っていきましたが、
一生懸命育てても豆からは芽が出る気配もありません
実は、母が投げたのは炒り豆だったのです。
1年たつと、新しい豆をもらいにオニがやってきます。
泣き言をいう鬼に、炒り豆を投げ付ける母
1年、又1年…母とオニの行く末は・・・・!?

鬼といりまめ」
日照り続きで、村中の田んぼの稲が枯れ始めました
”雨を降らせてくれるなら、一人娘のふくを嫁にあげる”
それを聞いていたのは山奥に住んでいたオニ。
やがて雨が降り出し、その年の秋には村中豊作になりました
泣く泣くオニのもとへ嫁に行くふくに、母は菜の花の種を渡し、
オニの家に行くまで、道に蒔く様にこっそり教えます。

山に帰っても酒ばかり飲んで暮らすオニ。ふくは家に帰りたくてたまりません
やがて春になると、雪が解けた山肌に、きれいな菜の花の一本道ができました。
道をだどって家に逃げ帰るふく。
後を追ってくるオニを振り切って家に帰りつくと、母は鍵をかけました。

(表紙画像掲載は
出版社の承諾を得ています)

佼成出版社
春夏秋冬の季節の変わり目、(この節目となる日を節分と言います)
季節の変化に応じて4日ありますが、今は立春の前日、冬が終わる最後の日だけを節分と言います。
体調を崩し安いこのい時期、この悪い気を追い払う意味で鬼を祓う信仰が生まれたといいます。
節分の夜には、年の数だけ豆を食べて、無病息災を祈りましょうか・・・
谷 真介/作
赤坂 三好/絵